みなさんは被災した経験はありますか?
瓦礫が散らばった路面、停電した街並み、避難所となる体育館で多くの人が避難して生活をしている様子を思い浮かべる方も少なくはないと思います。
今回取材させていただく北村 (きたむら)さんは、1995年の阪神淡路大震災を経験されました。
北村さんは秦山町1丁目防災会会長として被災経験をもとに長きにわたり町の防災を支えて来られました。
今回、秦山町1丁目公民館にLPガス&ガソリン発電機(エルソナ)を納品させていただきました。
災害の経験を生かして私たちがこれからできることは何なのか。
北村さんに導入の思いを伺ってきました。
秦山町1丁目防災会会長北村さん
被災の経験から停電対策の重要性に気づいた
発電機使用の様子
ー発電機を必要とされた動機をお聞かせください
すぐ近くに市の指定避難所である体育館があるのですが、そこはエアコンが付いていません。夏場は高齢者には熱中症の危険があるため、地震による停電の場合にも空調設備を動かせる避難所を作るべきだと思いました。そこでエアコンが動かせる動力のある発電機の導入を検討しました。
ーエルソナ検討のきっかけは何でしょうか
防災会役員の一人が過去に、防災資機材展示会にてガス使用の発電機を知り、興味を持ったことがきっかけです。香美市避難所運営体制整備加速化事業費補助金(県の補助金:平成30年度)で購入できるのではないかと思い防災会副会長が中心になって交付申請書を作成し申請しました。
ー導入にあたってかなり壁があったと伺っております。
当初はこの補助金(香美市避難所運営体制整備加速化事業費補助金)で上手く購入ができると思ったものの、県の方から、当該補助金の制約上の問題で発電機の購入は出来ないとなりました。
その後も当防災会と市、市と県の話し合いを通し、強く要望を続けたのですが、最終的には断念せざるを得ないということになりました。
発電機を購入することはできませんでした。空調設備を使うには分電盤の工事が不可欠なので、この補助金で分電盤の工事を行いましたが、発電機の導入は足踏みすることになってしまいました。
ー補助金でも費用が集まらなかったんですね。他に方法はあるのでしょうか。
次に宝くじの助成金を検討しました。この助成金は、 (一財)自治総合センターに香美市長が県を経由して申請する「コミュ ニティ助成事業」の「自主防災組織育成事業」で、当防災会が香美市防災対策課と相談しながら申請書の原案を作成して応募した競争的資金です。この事業では「コミュニティの活性化」が求められています。この趣旨に従って二次災害を防ぐため離れたところから物を持ち上げられるエアジャッキと発電機を申請し、香美市が採択され導入することができました。 発電機導入にあたって実際費やした年月は約3年。公民館の耐震工事や、分電盤工事なども含めると 5 年もの歳月を経ての導入となりました。
発電機からの電力によって照明・エアコンを稼働
ー北村さんが考えるエルソナの魅力とはどんなところでしょうか
一番の魅力は設置してあるエアコン(家庭用エアコン)を動かすことのできるハイパワーな点ですね。エアコンは200Vの電圧が取れないと動きません。エアコンを動かすことを目的としていたので、そこが魅力ですかね。それと、LPガスが使えるところも魅力的で、メンテナンスの手間が軽減されるのも魅力です。
また、香美市防災対策課からの話で、LP ガス協会と自治体が協定を結んでおり、災害時にガスボンベの提供を受けることになっているそうです。当防災会では5kg ボンベを使用しており、発電機を3時間ほどしか稼働させられません。そのため災害時には、自前の分と提供されるボンベで何とか電力の回復を待ちたいと考えています。
発電機と北村さん
ご自身が経験された震災の経験から、地域の人に呼びかけ、市や町への説得など、地域のことを第一に考え、「いざ」という時に備えるべく積極的に活動されている北村さんの姿がとても印象に残りました。
高齢の方が多い地域では、夏場の被災では熱中症になることが多く、一人一人が意識を持って「自分ごと」にして対策することが必要です。
今回の北村さんの場合のように、国や市町村、宝くじなどの補助金を使ってエルソナを導入できる場合もあります。
今回の取材でいつ起こるかわからない災害に向けて、対策していく重要性を改めて再認識しました。
※撮影の時のみマスクを外して撮影をしています。
(インタビューアー:岡 多加良 記事ライター:緒方 貴人)
納品場所:香美市秦山1丁目公民館 S-5500 1台